鏡開きは日本の伝統的な行事で、多くの家庭や施設で行われています。鏡餅は縁起の良い食べ物とされますが、高齢者にとって安全にお餅を楽しむためには配慮が必要です。
嚥下機能が低下した方にとってお餅は噛み切りにくく、丸飲みして喉に詰まらせる危険性があるため、十分に注意して行うことが大切です。
また、鏡開きの際は、あらかじめ安全対策を整えて、安心して楽しめる環境を作ることが重要です。
今回は高齢者のための安全な鏡開きとお餅の楽しみ方について解説します。
鏡開きの由来と歴史
鏡開きは、日本の伝統的な行事で、毎年1月11日に行われます。(関西では1月15日~20日) この行事は、新年に家族が健康で豊かに過ごせるように願いを込めて行われるもので、お正月に飾られた鏡餅を開くことからその名がつきました。
鏡餅は、神様への供え物とされており、特に農業の神である大己貴命(おおなむちのみこと)に感謝の意を表すために捧げられました。開くことによって、神様のご利益を受けると信じられており、地域によってさまざまな文化が根付いています。
また、鏡開きの際、包丁などの刃物で切ることは切腹などを思わせるため、縁起が悪いとされ、木槌などで割るのが正しい方法です。この行事は懐かしい思い出を呼び起こす大切なものでもあり、家庭や施設で楽しむことができます。
鏡開きとは
鏡開きは、正月に飾られた鏡餅を開いて食べることで、神様のご利益を得られるとされています。鏡餅は、家庭や神社に供えられるもので、神様に感謝の気持ちを示す重要なアイテムです。
鏡開きの行事は、単に鏡餅を食べるだけでなく、家族や友人と共に新年の健康や幸福を祈念する場でもあります。家庭では、地元の風習や文化に応じて、盛り上がるイベントとなることが多いです。
高齢者にとっては、子供の頃の思い出や、家族との絆を感じる大切な時間となるでしょう。このため、鏡開きを行うことは、単に食べるための行事ではなく、心のつながりを強める意義深いイベントなのです。
歴史と文化的背景
鏡開きは、古代日本の神道に起源を持つ行事であり、神様への感謝を表す重要な儀式です。元々は新年を祝うために、鏡餅を神棚に供え、無病息災を願うものでした。この習慣は時代と共に変遷し、庶民にも広がっていきました。
中世に入ると、鏡開きは武士階級を中心に広まり、特に新春の宴では鏡餅を開くことが重要な儀式とされました。江戸時代には、この行事が一般庶民の間にも広まり、祝いの席での風習として定着していきました。
また、地域によってそのやり方や意味が異なるため、鏡開きは各地の文化や風習を反映しています。例えば、地域ごとに異なるもちの食べ方や、鏡開きにまつわる言い伝えが存在します。
高齢者にとっても、このような文化的背景には思い出が詰まっており、家族や介護施設でのコミュニケーションの一環として楽しむことができます。
高齢者が鏡開きを楽しむための工夫
高齢者が鏡開きを楽しむためには雰囲気づくりも重要です。高齢者が楽しめるよう、明るい音楽を流したり、懐かしい写真を飾ったりすると、リラックスした楽しい時間を提供できます。さらに、参加者同士の交流を促すことも大切です。
安全に楽しむための準備
高齢者がおもちを食べる際の危険を減らすため、事前に柔らかく加熱調理して、一口サイズにカットしましょう。
トッピングを用意するのも良いアイデアです。甘さ控えめのあんこやきな粉、さらにはフルーツを添えることで、見た目にも楽しむことができます。
きな粉はむせやすい食品ですので、黒蜜などを使用して食べやすくなるよう工夫しましょう。
さらに、参加者が安心して楽しめるよう、飲み物を準備することも大切です。お餅を食べる前にお茶などで喉を潤しておくとよいでしょう。
これらの準備を整えることで、高齢者が安全に鏡開きを楽しむことができます。
鏡開きのもちの栄養と健康効果
鏡開きに使われるもちには、さまざまな栄養素が含まれています。主成分は炭水化物で、エネルギー源として重要です。特に高齢者にとっては、日常生活を支えるためのエネルギーが必要です。もちを食べることで、活動的な毎日をサポートします。
栄養だけでなく、鏡開きは家族や仲間と共に楽しむ行事であり、社会的なつながりを生む良い機会でもあります。こうしたコミュニケーションは、心の健康にも寄与します。
高齢者が元気に過ごすために、鏡開きは栄養面でも精神面でも良い影響を与えてくれる行事です。
もちの栄養成分
もちの栄養成分には、主に炭水化物で体に必要なエネルギー源になります。特に高齢者にとって、エネルギーが重要であるため、もちは役立つ食品と言えるでしょう。
もちには炭水化物の他に、ビタミンB群やミネラル分も含まれており、これらは代謝を助ける重要な役割を果たします。特に、ビタミンB1はエネルギーの生成に関与し、精神的な健康にも寄与します。
これらの栄養成分を考慮すると、鏡開きで楽しむもちが、高齢者にとって健康的な選択肢であることがわかります。美味しく食べながら、体に必要な栄養をしっかりと摂取できるのです。
高齢者の健康を考えたアレンジ
高齢者の健康を考えると、鏡開きのもちを工夫してアレンジすることが大切です。蒸しもちや、お湯で煮たもちにして柔らかくすることで、喉に詰まるリスクを減らしましょう。
また、もちを小さな一口サイズにすることで、噛む力に自信がない方でも安心して楽しむことができます。
さらに、栄養バランスを考えて食物繊維の多いあんこやきな粉、ビタミンの摂れる野菜を煮込んでスープや煮物にすることでバリエーションを楽しむことができます。
鏡開きに適したもちのレシピ
鏡開きには、特別なもちのレシピを用意することで、より楽しい時間を過ごすことができます。
まずおすすめするのは、もち米を使った柔らかいおもちです。
もち米を水に浸して数時間置き、蒸し器でしっかりと蒸します。その後、手のひらで押しながら滑らかになるまでこねると、口当たりの良いおもちが出来上がります。 鏡開きはいくつかのバリエーションを用意することで、より楽しいイベントにすることができます。
ぜんざい
ぜんざいは、鏡開きに欠かせない伝統的な和菓子の一つです。特に寒い時期には、温かいぜんざいが心を和ませ、多くの高齢者に愛されています。
もちを入れた甘い汁物で、具材のもちとあんこが相まって、ほっとする美味しさが魅力です。 高齢者には、食べやすいように工夫が必要です。
まず、十分に柔らかく煮込んだもちを使うことが大切です。そうすることで、喉に詰まりにくく、安全に楽しむことができます。
また、あんこもこしあんを使うと、なめらかで食べやすくなります。甘さも調整可能なので、健康を気遣う方にも対応できます。
ぜんざいは、季節感を楽しめる料理ですので、家族や施設での活動の中で作ってみると良いでしょう。温かいぜんざいを囲むことで、皆が集まり、楽しい会話が生まれること間違いありません。
鏡開きを通じて、ぜんざいを共に楽しむ時間が、高齢者の日常に彩りを添えることができるのです。
手作りおかき
手作りおかきは、鏡開きの際にお餅を楽しむ素敵な方法の一つです。
おかきは、お餅を乾燥させて焼いたもので、パリッとした食感と香ばしさが魅力です。作り方はとても簡単で、高齢者でも楽しく取り組むことができます。
まず、完成したお餅を薄くスライスします。スライスしたもちを陰干しして水分を飛ばし、しっかりと乾燥させることが重要です。この工程を経ることで、焼いたときにカリッとした食感になります。
次に、乾燥させたもちをオーブンやフライパンで焼きます。焼き加減はお好みで調整できますが、焦げないようにこまめにチェックすることが大切です。
焼きあがったら、塩やきな粉、海苔をまぶして、お好みの味に仕上げます。
手作りおかきは、お餅とは違った楽しみ方ができるため、高齢者や介護をされている方々にとっても喜ばれるおやつとなるでしょう。
飲み込みやすい「ソフトもち」のご紹介
当社は、介護施設で介護食の提供を行っていますが、お正月にお餅が食べたいというご要望を叶えたいと「ソフトもち」を開発しました。
発売から10年以上が経ちますが、多くの介護施設でお正月や鏡開き、ハレの日の行事に介護食として使用されています。
ソフトもちとは?
「ソフトもち」はもち米粉を使用しており、特許を取得した製法によって 、餅特有の粘り気やべたつきを抑えて飲み込みやすくした介護食です。
また、5㎜程度の厚みに仕上げており、嚥下機能が低下している方でも飲み込みやすいように工夫してあります。
お雑煮やお汁粉、あんこを添えたデザートとして幅広くアレンジしていただける商品です。
(特許番号:第6081004号、第5955692号)
ソフトもち(白)
「歯ぐきでつぶせる」
"餅を食べたいがのどに詰まりやすいので心配"
"安全で食べやすいお餅が欲しい"
そんなお声に応えた飲み込みやすいお餅です。特許を取得した独自製法でお餅の粘りを抑えることに成功しました。
おすすめのアレンジレシピを紹介
まとめ
鏡開きは、高齢者にとって文化的な意味を持つ大切な行事ですが、安全に行うことが最も重要です。
高齢者が参加する際には、もちを適切に調理し、喉に詰まらないように配慮することが求められます。
鏡開きを通じて高齢者が楽しいひとときを過ごせるようにするためには、安全対策をしっかりと講じ、心温まる時間を提供することが大切です。高齢者の笑顔を引き出せる行事となるようお祈りしております。
監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。