加齢に伴い、今まで食べていた食事で噛みにくい、飲み込みにくいと感じることはありませんか?
噛む力や飲み込む力といった嚥下機能が低下した方でも食べやすいように、調理方法などを工夫した食事のことを介護食といいます。
嚥下機能の低下レベルは人によって様々であるため、安心安全に食事をするための目安として介護食にもその指標となる区分があります。
今回は、介護食の基本と美味しく作るポイントや注意点などをご紹介します。
介護食とは?
介護食とは噛む力や飲み込む力が低下した方でも食べやすいように、調理方法などを工夫した食事のことです。
噛む力や飲み込む力は、加齢に伴う疾患や筋力の衰えによって徐々に低下していきます。
これが原因で食欲の低下や、食べ物がうまく飲み込めず気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)を引き起こしてしまうこともあります。
介護食は普通の食事が食べにくくなった方でも安心安全に美味しく食事を楽しめるように配慮された食事です。
食事は単に栄養を摂るためだけではなく、楽しみや生きがいにもつながります。
単調な生活になってしまいがちな高齢者にとって、毎日の食事は満足感や活力を得られる貴重な機会です。
食事は、心身の健康を維持するためになくてはならない生活の一部であると言えます。
介護食には、きざみ食・ソフト食・ムース食・ゼリー食・ミキサー食などがあり、被介助者の噛む力や飲み込む力に適した食事形態を選ぶことが大切です。
①きざみ食
食材を細かく刻んだ食事のことで、筋力が低下して口を大きく開けられない方や噛む力が弱くなってきた方に適しています。
②やわらか食
ソフト食とも呼ばれ、食材を煮込んだり茹でるなどして柔らかくした食事のことです。
歯がない方や噛む力が弱くなった方でも歯ぐきや舌で潰すことができ、飲み込みやすいのが特徴です。
③ミキサー食
食材をミキサーにかけてペースト状にしたもので、噛む力がほとんどない方や飲み込む力が弱い方に適しています。
④ゼリー食
食材をミキサーでペースト状にした後、ゼラチンや寒天などを加えてゼリーのようにやわらく固めたものです。噛む力と飲み込む力の両方が弱くなった方でも口の中でまとまりやすく、誤嚥のリスクが低いのが特徴です。
食事形態について
また、日本介護食品協議会が規格したUDF(ユニバーサルデザインフード)の基準があります。
これは、食品のやわらかさなどをもとに以下の4つの区分に分類されています。
②歯ぐきでつぶせる
③舌でつぶせる
④かまなくてよい
そふまるでは、このUDF区分のうち①~③の区分の商品をご用意しています。
UDF区分について
美味しい介護食を作るポイント
ここでは美味しい介護食を作る際のポイントを解説します。
【噛みやすく、飲み込みやすいように工夫する】
噛む力が弱くなった高齢者でも噛みやすいように、食材を一口サイズに切る、細かく刻む、やわらかくするなど工夫して調理しましょう。
また、飲み込む力が弱い方には、ミキサー食やゼリー食がおすすめです。
汁物などには、片栗粉や専用のとろみ剤を使うことで、誤嚥を防ぐことができます。
【塩分を控えめにする】
塩分の過剰摂取は高血圧の原因になります。
できるだけ素材の味を生かし、薄味で調理することを心がけましょう。塩分の代わりに出汁や薬味で香り付けするといった工夫もおすすめです。
【栄養バランスを考えた献立】
高齢者は筋力が低下しがちです。
たんぱく質は毎食摂るように心がけ、カルシウム、ビタミン、ミネラルなどを補うバランスの良い献立を意識することが大切です。
【美味しそうに盛り付ける】
彩り豊かで綺麗な盛り付けは食欲を刺激し、食事を楽しんでもらえるようになります。
食事は目でも楽しむものであります。「赤・黄色・茶色・緑」を取り入れることで食欲をさせます。
食べやすさも大切ですが、美味しそうな見た目に仕上げる工夫をして、食べたいと思ってもらえる介護食を目指しましょう。
食べやすくする工夫について
介護食を美味しく食べてもらうには、食材選びも重要です。
そのままでもやわらかく食べやすいもの、ぬめりがあって誤嚥防止になるものなどを選ぶことで、調理もしやすく高齢者にとっても食べやすくなります。
介護食に適したおすすめの食材は以下です。
・脂の多い肉や魚 (ロース肉・バラ肉・さば・かれい・ぶり)
・豆腐
・じゃがいも
・バナナ
・ヨーグルト
【ぬめりのある食材】
・納豆
・なめ茸
・モロヘイヤ
・オクラ
・とろろ昆布
一方で、まとまりがなくパサついたものや噛みづらいものは誤嚥のリスクがあるため注意が必要です。
具体的には、ひき肉やおからは口内でバラバラと崩れてしまうので、誤嚥のリスクが高まります。
水溶き片栗粉でとろみをつけるなど調理方法を工夫しましょう。
芋類やパンなどの水分が少ない食材も飲み込みにくいので、スープに浸して食べたり、こまめな水分補給をする必要があります。
また、弾力のあるもの(かまぼこ・タコ・イカ)、平らで口の中や喉に貼り付きやすいもの(海苔・わかめ)などは口の中で細かく噛み切ることが難しいため、介護食を作る際には無理に選ばず、やわらかい食材を代用するようにしましょう。
介護食を食べてもらう時の注意点
ここでは、高齢者の方に食事介助の際に知っておきたいことを4つご紹介します。
【口腔ケア】
口内には細菌がたくさん潜んでいます。
細菌がいる状態で食事をすると、口内の細菌が食事とともに気管や腸内に入り、誤嚥性肺炎や便秘になるリスクが高まります。
食前・食後にはうがい、歯磨きをして口の中を清潔に保つようにしましょう。
【食べる姿勢】
姿勢が悪いとむせたり誤嚥を招きやすくなります。
食事介助をする際は、食べる姿勢を正しくサポートすることも大切です。
背中は60~90°くらいの角度、顎は引き気味にするのが理想的な姿勢です。
【楽しい食事環境】
食事は誰かと一緒に食べるほうが美味しいと感じることが多いと思います。
食事の時間が楽しくなるよう、コミュニケーションを充実させましょう。
その日に食べたいものを聞く、味の感想を言い合う、食卓のコーディネートを変えてみるなどの雰囲気づくりが大切です。
【持ちやすい食器を使用する】
上手に身体を動かすことができない方向けの「自助食器」というものがあります。
自助食器を使うことで、自分で食事ができたという成功体験が積み重なり、食べる楽しみにつながることもあります。
便利グッズについて
冷凍が便利!そふまるの介護食をご紹介
「介護食って作るのが大変そう」「美味しいものを食べてもらいたいけど時短もしたい」、といった不安やお悩みを抱えている方も多いと思います。
そふまるの介護食は、噛む力や飲み込む力に合わせた食べやすさに配慮して作られています。
見た目が普通の食事と変わらないように食材そのままの形を保っているので、食欲が湧きやすく、目でも楽しめる料理になっています。
型崩れしないようにお届けは全て冷凍で、一食分の個包装になっているので、食べたいときに電子レンジで温めるだけで簡単に用意できます。
また、全て栄養管理士監修のもと、栄養バランスも考えて作っているので、安心してお召し上がりいただけます。
初めての方には、単品商品の中でも人気なメニューを集めたバラエティセットがおすすめです。
今回は、美味しい介護食を作るポイントや注意点など、介護食の基本についてご紹介しました。
高齢者に中には、噛む力や飲み込む力が弱くなってきたことが原因で、食欲不振や栄養不足になってしまう方がいるので、食事を提供する際には調理方法などを工夫し食べやすくすることが大切です。
そして、楽しく健康的な食生活を送ってもらうためには、周囲の方のサポートも必要となります。
細かい注意点が沢山あり、介護を行う方にも負担がかかることもあるかと思います。
時にはそふまるの商品を上手に取り入れていただきながら、食事介助を行う皆さんの一助になれば幸いです。
監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。