こんにちは、ふーこです。
将来の介護に不安がある方や既に介護に携わっている方が抱えるお悩みを解消するため、そふまる工房で管理栄養士として働く上田先生にインタビューしていきます。
前回は高齢者の物忘れや認知症予防について、話をお聞きしました。
今回は自宅でやわらか食を作る際の工夫について、そふまるの商品開発に携わっている上田先生に詳しくお聞きしていきます。
上田先生、今回もよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
自宅でやわらか食を作る際の工夫
自宅で介護食を毎食手作りするのは大変なことだと思います。
自宅でやわらか食を作る時の心得などはありますか?
そうですね、普通の食事でも毎食手作りは大変ですから、やわらか食となると負担が大きくなると思います。
時には惣菜や冷凍食品などを上手に利用して、作る方にも負担のないようにしていただきたいです。
被介護者によって食べやすいもの・食べにくいものも違ってきますよね...
はい、症状によっても個人によっても違ってきます。
体調によっても状態が異なりますので、そのあたりの観察も大事です。
介護施設で実践されている工夫や調理法があれば教えてください。
介護施設では、刻み食・極刻み食など段階を分けて食べやすい大きさにカットして提供していることが多いです。
刻み食の水分が少なくて食べにくそうな場合は、お出汁を効かせたとろみを上からかけたりしています。
大量調理なので、フードプロセッサーでカットする場合がありますが、魚をフードプロセッサーにかけると、皮がなかなかカットされず、やわらかい身の部分だけカットされすぎて団子状態になってしまうということがあります。
その場合は、魚の皮を取り除いてから行うなどの工夫も行っています。
段階を分けた大きさにカットしているのは知りませんでした...!
自宅でも簡単にできる工夫があれば教えていただきたいです。
水分量の少ない魚や・鶏むね肉、揚げ物等にはあんをかけると食べやすくなります。
あんを作る際に片栗粉を使うと加熱の必要がありますが、とろみ剤を使用することで簡単にとろみをつけることができます。
調理方法では、炒め物は固いからと敬遠されがちですが、食材を下茹でして調理すると柔らかくなり食べやすくなります。
ちょっとしたひと手間で炒め物も食べやすくなるんですね!
食事介助に役立つ!便利グッズや時短方法
自宅で調理する際に時短できる便利グッズなどはありますか?
包丁でカットするのも良いですが、家庭用のミキサーを用いると簡単に細かくすることができます。
また、分解して洗えるキッチンバサミは、まな板と包丁を使用せず洗い物を減らすことができるので便利です。
なるほど…!
洗い物が減れば負担も少なくなりますよね。
その他にも家にあるものや手に入りやすいグッズを活用してできることはありますか?
もうすでに皆さんご使用されているかもしれませんが、千切りピーラーがあると刻む手間が省けて便利です。
細く切れるので食べ易く見た目もよくなるので、私も愛用しています。
ダイソーで販売されているスチーム調理バッグは、さっと調理したいものや、煮物をするときに少ない調味料で出来るので便利ですよ。
調理道具ではありませんが、セリアでは、食器コーナーに食べやすいスプーンやコップなどがあります。
ダイソー/スチーム調理バッグ 詳細はこちら
通常の食事と介護食を別に作るのであれば、その手間は2倍になりますよね…
そうですね、自宅で作る介護食は少人数分になるかと思います。
一度に沢山作っておいて、小分けトレーなどに入れて冷凍させておくのも良い方法だと思います。
やわらか食に向いている食材とは?
やわらか食に向いている食材ってあるんですか?
油脂分や水分が多いと細かくしても食べやすいです。
魚だと白身魚や鯖や鰤などはしっとりしていて食べやすいですよ。
そふまるのお魚のおかずでは定番の塩焼き、味噌煮、照焼きからフライまでご用意しております。やわらかさもそれぞれ異なるので是非チェックしてくださいね。
さばの塩焼きの詳細はこちら
さばの味噌煮の詳細はこちら
ぶりの照り焼き
UDF区分:「歯ぐきでつぶせる」
高齢者の健康に配慮した食事として、栄養バランスに優れたぶりの照焼きをご提供します。
ジューシーなぶりの身に、甘辛いタレが絶妙に絡み合い食べやすいやわらかさに配慮した一品です。
魚のメニューだけでも種類が豊富なのが嬉しいですね!
他におすすめの食材はありますか?
あとは鶏肉でも繊維質なささみ肉より、もも肉の方が食べやすいです。
薄切り肉やミンチになっているものはカットする手間が少なく手軽に使用できます。
しゃぶしゃぶ用のお肉は薄くて高齢者でも食べやすいのでおすすめです。
そふまるのメニューにもあるので、ぜひチェックしてみてください!
やわらか食を作る際に調理方法の面で注意することはありますか?
水分の少ない料理はパサパサして食べにくいので、焼き物や炒め物でも、最後に蓋をして蒸しあげ、しっとりさせています。
介護施設でも、炒め物は、炒め煮にして煮汁のある状態で提供したりすることが多いです。
調理法を少し変えるだけで食材の水分量を増やし、食べやすくすることが可能なんですね!
そうなんです。
また、食材の切り方は、大きさが揃っている方がきれいなのであらかじめ切ってから加熱調理する方が仕上がりが良く、食欲をそそると思いますが、人参や蓮根などの根菜類は、加熱してから小さく切った方がやわらかい場合もあります。
もし、小さく切って加熱して固い食材があったら、大きめに切って加熱してからカットする方法も試してみてください。
加熱後に切ったほうが食べやすくなる食材もあるというのは意外でした!
介護食を最初から上手く調理しようとするのではなく、色々な方法を試してみるのが良いと思います。
最後になりますが、自宅で手作りする場合は栄養面が気になりますが、なにかポイントはありますか?
「一汁三菜」と「まごはやさしい」の食品を意識して摂るようにすると、自然とバランスが良くなると思います。
「まごはやさしい」の食品、参考になります!
今回は自宅で作るやわらか食について、詳しく教えていただきありがとうございました!
私も早速実践してみようと思います!
こちらこそ、ありがとうございました! 次回もよろしくお願いします。
監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。