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【第四回】「食事で早めの対策を」すぐにできる高齢者の物忘れ予防

第四回


こんにちは、ふーこです。

これから介護を始める方が抱えるお悩みを解消するため、そふまる工房で管理栄養士として働く上田先生にインタビューしていきます。

今回のトピックは、在宅介護をされている方のお悩みでも多い、高齢者の物忘れや認知症予防についてです。

よろしくお願いします

物忘れや認知症予防を食事で予防することができるって本当ですか?

そうなんです。
食事でできる予防法がたくさんあります。

今回も、介護に携わる皆様のお悩みを少しでも解決できればと思います!

高齢者の物忘れや認知症は予防できる?


高齢者の物忘れや認知症を予防

在宅介護をされている方のお悩みや心配事の一つに、被介護者の物忘れや認知症がありますが、物忘れと認知症は違うのでしょうか。

はい、違います。
物忘れは、生理的な老化に対し、認知症は脳の病気です。 新しいことを覚えたり、記憶することが難しくなる、これは老化現象の物忘れです。

一方認知症は、記憶力、判断力、計算力、遂行力、言語能力などの認知機能が低下します。

そうなんですね。
認知症の方がより重大に思えますが、実際はどうですか?

その通りです。
認知機能が低下すると、体験したことを全て忘れてしまったり、ある目的を果たすためのいくつかの作業を順序立てて行うことが難しくなったりします。

そのため日常生活を送る上で支障をきたすことが多く、サポートが必要となってきます。

周りの人が日頃から、単なる物忘れなのか、認知症なのか注意しておくことが大切ですね。

認知症の予兆のようなものはありますか?

認知症には、いくつかのタイプがありますが、認知症の中でも約半数を占めるアルツハイマー型は近時記憶障害といって、つい最近の体験した出来事が思い出せないという特徴があります。

また、本人に忘れている自覚がないのも特徴です。主な予兆は以下のようなものです。


・迷子になる
・お金の取扱いや請求書の支払いに問題が生じる
・質問を繰り返す
・普通の日常作業をこなすのに時間がかかるようになる
・判断力の低下
・物をなくしたり、おかしな場所に置き忘れたりする
・感情および人格の変化


なるほど…
このようなことがないか注意しておけば良いですね。

予兆は認知症のタイプによって異なりますので、心配な場合は医療機関を受診されるとよいかと思います。



物忘れ予防に効果的な栄養素


物忘れ予防に効果的な栄養素

物忘れや認知症予防には食事が重要だと聞きますが、本当なのでしょうか?


はい、認知症の中でもアルツハイマー型認知症の原因はアミロイドβというたんぱく質が老人斑として脳に蓄積して神経細胞が障害を受けることと言われています。

現段階では、認知症を根本的に治療する方法はないと言われているので、アミロイドβが蓄積しないように、毎日バランスのよい食事を心がけて予防することが大切です。

なるほど…!

だから物忘れや認知症予防には食事が重要なんですね。 具体的にどのようなところに注意すれば良いですか?

塩分の取り過ぎに注意することが重要です。

塩分過多の食事は高血圧や動脈硬化になりやすく、それを引き金とした脳卒中、脳梗塞がおこり、結果的に認知症の発症リスクも高まります。

塩分には要注意ですね。

他にも、物忘れと認知症予防に効果的な食材があれば教えてください。

具体的な栄養素としては、EPA(エイコサペンタ塩酸)、DHA(ドコサヘキサ塩酸)といったオメガ3系の多価不飽和脂肪酸を積極的に摂取するとよいということが分かっています。

EPAとDHA… 聞いたことはあるのですが、どうやって摂取すれば良いのでしょうか。

主に青魚から摂取することができます。

他にも予防に効果的な栄養素とそれが含まれる食材をまとめましたので、確認してみてくださいね。


【納豆】・・・納豆キナーゼ
血栓予防効果があり、脳卒中や脳梗塞が原因で発症する脳血管性認知症を予防

【緑茶】・・・ポリフェノール
アミロイドβの蓄積を防ぐのに効果的

【緑黄色野菜】・・・β―カロテンやビタミンC、ビタミンE
抗酸化作用があり、動脈硬化予防や老化などの予防効果がある


身近な食材にたくさん含まれているんですね。
これなら、誰でも日頃の食事で予防することができそうです。

そうなんです。予防に効果的な食材は意外と身近なものが多く、また手に入りやすい食材が多いんです。

予防に効果的な食材についてお聞きしましたが、逆に進行を早めてしまう食材などはありますか?

お肉に偏った食生活をしていると認知症になりやすいという報告があります。

たんぱく質を摂取するためにも、お肉は大切かと思うのですが、認知症予防には良くないのですね。

お肉を食べること自体が悪いということではありません。 むしろ、ふーこさんがおっしゃる通りたんぱく質を摂取するためにはとても大切です。

ただ、お肉の脂身には脳梗塞や脳卒中などのリスクを高める飽和脂肪酸が多く含まれているため食べ過ぎには注意が必要なんです。

それを聞いて安心しました。
お肉の食べ過ぎが良くないんですね。

お肉だけではなく他の食材にも言えることですが、偏った食事が良くないので、バランスの良い食事を心がけることが最も効果的な認知症予防です。

早いうちから対策を!食事を改善しよう


和食

物忘れや認知症予防には、バランスの良い食事が大切だということがわかりました。

それぞれの食材で、相性の良い食べ合わせなどはあるんでしょうか?

相性が良いという答えが正しいのか分かりませんが、1汁3菜の和食は認知症予防によい食事です。

さばやイワシ、サンマ、アジなどの青魚をメインに、お味噌汁、大豆製品、野菜などの副菜を組み合わせると自然と認知症予防に効果的な食事になりますよ。

和食は理想的な健康長寿食であると良く聞きますよね。


はい、他にもイタリア、ギリシャ、スペインなどの地中海沿岸の国の人が食べている伝統食に地中海食という食事があり、認知症のリスクが下がるという研究結果が多くあります。

初めて聞きました!
どんな食事なんですか?

地中海食では肉よりも魚が多く使用され、緑黄色野菜がメニューに多く含まれています。

また、オリーブオイルやナッツも摂取され、それらにはオメガ3系の不飽和脂肪酸やオレイン酸という生活習慣病を予防する栄養素が多く含まれ、結果的に認知症予防につながるんです。

地中海食にはあまり馴染みがありませんでしたが、理想的な栄養バランスですね。


そうなんです。
日本からも遠く、馴染みの薄い地中海食ですが、使う食材は違っても、栄養バランスは和食と似ていますよね。

実際に、上田先生がおすすめする献立はありますか?


個人的に、青魚と大豆製品が同時に摂れるさばの味噌煮がおすすめです。

また、緑黄食野菜を使った副菜で、ブロッコリーや人参、フルーツなどにナッツを組み合わせたサラダなどがおすすめです。 そふまるでもさばの味噌煮を販売しているので、是非チェックしてください。

さばの味噌煮

さばの味噌煮
UDF区分:「舌でつぶせる」

脂がのったさばを使用し、生姜の風味と味噌のコクをしっかりとしみ込ませ、とろけるような食感が楽しめます。高齢者の栄養バランスを考えた、おいしくて健康的な食品として、ぜひお試しください。

さばの味噌煮の詳細はこちら

さばの味噌煮は日本人にも馴染みのある料理なので、高齢者の方も抵抗なく食べていただけそうですね。

そうですね。簡単なものから、ぜひ食事に取り入れてみてください。

今回もたくさんお答えいただきありがとうございました。

食事で物忘れや認知症予防ができるとは知らなかったので、私も早速実践してみようと思います。

こちらこそ、ありがとうございました!次回もよろしくお願いします。



監修者
上田 稚子(Ueda Wakako) 管理栄養士
大学卒業後、管理栄養士として亜急性期病院にて幅広いライフステージ、様々な疾患に応じた栄養指導をしてきました。
現在は、名阪食品株式会社にて介護食ブランド「そふまる」の研究開発に携わっています。