節分とはどんな日?
2023年の節分は、2月3日(金)。
節分とは、「鬼を追い払って新年を迎える、各季節の始まりの日(立春、立夏、立秋、立冬)の前日」のことをいいます。
旧暦では、立春が新年の初めの日、その前日は今でいう大晦日に当たります。一年の最後の日に、邪気を追い払い、良い新年を迎えるための準備の日という意味がありました。
節分といえば、日本の伝統行事として大切にされている、「豆まき」をする家庭が多くあります。豆まきは、季節の変わり目に起こりがちな、病気や災害を鬼に見立てて、それを追い払う儀式とも言われています。
近年では、恵方巻きを食べる習慣も一般的になってきました。その起源はいくつかありますが、関西方面から伝わったものとも言われています。
<恵方巻きとは?>
恵方巻きは、その年の「歳徳神(としとくじん)」がいらっしゃる方角を向いて食べると、縁起が良いとされています。歳徳神とは、年神(としがみ)、正月様とも呼ばれ、一年の福徳をつかさどる神様のことを言います。
恵方巻きは、7種類の具材を入れるのが一般的です。縁起がいいと言われている「七福神(しちふくじん)」に由来し、7種類の具材を巻くことで、「福を巻き込む」という意味も込められていると言われています。
しかし恵方巻きは、1本をそのままかぶりつくというのが醍醐味でもあるため、誤嚥のリスクがある高齢者では、喉につまらせてしまう危険もあります。
飲食物や異物・唾液などを飲み込んだ時に、食道ではなく、誤って気管内に入り込んでしまう状態を誤嚥(ごえん)と呼びます。
高齢になると、食事中にむせることが増える場合があり、これは、「飲み込む力=嚥下機能 」が低下していることが原因とも考えられます。
嚥下(えんげ)機能が低下すると、誤嚥が起こりやすくなります。誤嚥は肺炎を起こす原因ともなるため、放置せず食事を工夫したり、嚥下訓練を行うことが必要です。
高齢者が誤嚥するリスクがある食べ物は以下になります。
・喉に張り付きやすい食材(海苔・わかめ等)
・弾力が強く、粘り気のあるもの(もち・こんにゃく・しいたけ等)
・パサパサとして、水分が少ないもの (きなこ・粉砂糖がまぶしてあるお菓子・もなか等)
・繊維が多くて、口の中でバラバラになるもの(ごぼう・れんこん・こんにゃく等)
このような食材は避けるか、食べやすいように調理の工夫が必要となります。
安全に楽しめる恵方巻き作りのポイント
私たち名阪食品は、高齢者施設で50年以上給食サービスを提供しております。その経験から考えられる、恵方巻きを高齢者向けに作る際の工夫をご紹介いたします。
【食材1】 海苔 → 薄焼き卵
厚みがなく噛み切りにくい海苔は、喉に張り付きやすく、ご飯に巻くことで、海苔が湿気ってしまいより噛み切れなくなります。そのため、海苔の代わりに薄焼き卵で巻くのがおすすめです。 卵アレルギーの方には、とろろ昆布や胡麻をまぶして代用するのもおすすめです。
【食材2】 きゅうり → ほうれん草
きゅうりは固くて食べづらいため、柔らかく、見た目も色鮮やかなほうれん草に置き換えるのがおすすめです。
ほうれん草を色鮮やかに調理するコツはこちらになります。
①完全に沸騰したお湯でサッと茹でる。
②茹であがったら冷水に浸す
こうすることで鮮やかな色に調理できます。
長時間水に浸すと、水溶性のビタミンCが溶け出してしまうため、長時間水に浸けないようにしましょう。
【食材3】 しいたけ
細かく刻むと食べやすくなります。味付けは少し濃いめにすることで味のメリハリができ、より美味しく仕上がります。
【食材4】 かにあしフレーク、さくらでんぶ
華やかな食材を入れることで、食欲も増します。
かにあしフレークは、かにの身をほぐしフレーク状にしたもの。やわらかく、味付けもしっかりしているためおすすめです。
さくらでんぶは、魚や肉をほぐした「田麩」に砂糖などで味付けをしたもの。細かくほぐしているため高齢者でも食べやすく、ご家庭でも手作りすることができます。
最後に、恵方巻きを美味しく・きれいに仕上げるコツをご紹介いたします。
・きれいに巻くには、ご飯を均等にのせる
具材をたくさん入れるため、端から具材がこぼれてしまうことがあります。ご飯をなるべく薄く均等にのせることで、きれいに巻くことができます。
・ご飯の量は、少なめがおすすめ
太巻きは食べづらく口に入れづらいため、ご飯の量を少なくして細く巻くようにします。
・時間を置いてから切る
巻き終えたらすぐに切るのではなく、具材がなじむまで待つことで、お好みのサイズにカットすると崩れにくく、きれいにカットすることができます。
当社が提供している給食サービスでは、高齢者が食べづらい食材を使わず、安全かつ美味しく召し上がって頂くための工夫がされています。
関西地方では、厄除けぜんざいという習慣も
<厄除けぜんざいとは?>
小豆を108人に食べてもらうといいと言われており、道行く人に赤飯やぜんざいを配るという風習があります。小豆の赤い色には邪気を払い、厄を除ける力があると信じられているため、ぜんざいなどを親しい人に食べてもらい、自分自身の厄を平らげてもらえるという意味合いもあります。
主に関西地方を中心に、節分の日に厄を分けてもらうために厄除けとして、ぜんざいをいただく習慣があると言われています。
地域によっては、厄除けぜんざいの代わりに、厄除け饅頭や厄除け餅を配ることもあると言われています。
またお餅も高齢者にとっては、喉に詰まりやすく、誤嚥のリスクがあります。
特に冬季は、お餅による事故が起きやすい季節とも言われているため、事前に事故を防ぐために、高齢者本人だけでなく、周りで見守る家族などの同居者も一緒になって対策や注意点を考えておく必要があります。
ソフトもち(白)
「歯ぐきでつぶせる」
"餅を食べたいがのどに詰まりやすいので心配"
"安全で食べやすいお餅が欲しい"
そんなお声に応えた飲み込みやすいお餅です。特許を取得した独自製法でお餅の粘りを抑えることに成功しました。
お餅を食べる際の注意点は以下になります。
・水分を一緒にとる
焼いたもちをそのまま食べると、水分が少なく喉に張りつきやすくなります。汁物の中に入れるか水分のある食材と合わせるようにしましょう。
おもちを食べる前後に、お茶などを飲んで、口腔内を潤しておくのも良いと言われています。
・お餅を小さく切って食べやすくする
お餅は噛み切りづらいため、小さく切って、少しずつ食べるようにしましょう。
噛みきれず一度に多く口に含んでしまうと、喉に詰まって窒息する危険性が高まります。
・お餅の代替え品を使用
介護食用のおもちなど、柔らかく加工されたものを使うのも良いとされています。
そふまるでは、お客様からたくさんご意見・ご要望をいただき誕生した「ソフトもち」が発売当時から愛され続けています。
<今年の節分は家族で楽しもう>
節分や恵方巻きは高齢者の方にとっても、なじみの深い行事の一つです。
今回ご紹介した注意点に気をつけながら、家族と一緒に楽しむイベントとして安全して過ごしていただければと思います!